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建物の断熱性能を示す等級とは?各指標とともに解説!

カテゴリ:不動産の基礎知識

建物の断熱性能を示す等級とは?各指標とともに解説!

住宅を購入する際に考慮する一つのポイントが、建物の断熱性です。
夏は涼しく、冬は暖かい空間が理想的ではあるものの、どの程度の性能を求めれば良いかの判断は難しいですよね。
今回は、その断熱性能の度合いを示す断熱等性能等級について解説していきます。


建物の断熱等性能等級とは

建物の断熱等性能等級とは

建物の断熱等性能等級とは、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(通称品確法)」のなかで規定された断熱性を示す指標です。

具体的な等級

断熱等性能等級には1〜4まで4つのランクがあります。
最低ランクである等級1は無断熱を示します。
等級1が制定されて以降はたびたび更新を繰り返し、平成11年には等級4が定められました。
最高ランクの等級4は、「開口部に複層ガラスを設置しなければならない」などといった厳しい条件が定められています。
そのため、無断熱であった等級1と比較すると、およそ60%の省エネが可能となりました。
ちなみに、2022年4月にはさらに上のランクである等級5が新たに制定される予定となっています。

断熱等性能等級の判定方法

断熱等性能等級はどのように決定されるのでしょうか。
そこで判断基準となるのが「外皮平均熱貫流率(UA値)」です。
まず貫流率とは、屋内から屋外へどの程度熱が移動するかを表した指標です。
そして外皮平均熱貫流率とは、住宅全体からの熱損失量を壁や窓といった外皮の合計面積で割った値になります。
これにより算出された数値が低いほど、断熱性能が高いということができます。
またこのUA値は、地域区分といって暖房度日でエリア分けがなされており、各地域それぞれで基準が設けられています。
日本では現在合計8つのエリアに区分されており、UA値と該当する地域の基準値を比較して断熱等性能等級を決定されるのです。

断熱等性能等級4であれば十分なのか

先に結論をお伝えすると、断熱等性能等級4であっても十分とはいえません。
たしかに断熱等性能等級4は長期優良住宅やフラット35取得のための基準にもなっているため、安心感を持つ方は多いでしょう。
しかし、現代の技術の進歩からすれば決して最高級の性能ではございません。
たとえば、等級4では天井や床に厚さ90mmの断熱材を使用していますが、それを上回る厚さの断熱材が流通していたり新しい工法も生まれています。
断熱に拘っている方はとくに、より高い断熱性能を探しましょう。

建物の断熱性能におけるZEH基準とは

建物の断熱性能におけるZEH基準とは

これまで建物の断熱性のみに着目して、その基準をお伝えしてきました。
もちろん断熱性能が高いに越したことはないですが、現代では環境への配慮も非常に重要視されています。
そこで併せて注目を集めているのが、「認定低炭素住宅基準」と「ZEH基準」です。

認定低炭素住宅基準とは

認定低炭素住宅基準とは、断熱等性能等級4と同程度の断熱力を持ちながら、二酸化炭素の排出量にも焦点を当てた基準です。
認定低炭素住宅に該当する基準は以下のとおりです。

●断熱等性能等級が4以上であること
●1次エネルギー消費等級が5以上であること
●節水対策、エネルギーマネジメント、ヒートアイランド対策、建物の低炭素化のうち2つ以上を達成していること


1次エネルギー消費等級とは、断熱性能の他に照明や冷暖房を含めた設備機器のエネルギー効率等を合算して出す1次エネルギー消費量の等級を表します。
このように、省エネに関する項目も追加されており、より厳しい条件になっていることがわかります。
ちなみに、1次エネルギー消費等級には1〜5の5つの等級が設けられています。

ZEH基準とは

認定低炭素住宅基準のさらに上の等級に値するのが、このZEH基準となります。
ZEHはネット・ゼロ・エネルギーハウスの略です。
国土交通省により、ZEHとは「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現したうえで、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の1次エネルギー消費量の収支ゼロとすることを目指した住宅」と定義されています。
ZEH基準に該当する条件は以下の4つになります。

●エリアに応じた強化外皮基準を満たしていること
●20%以上の基準1次消費量が削減されていること
●太陽光などの再生可能エネルギーが使用されていること
●上記3つによって、100%の1次エネルギー消費量が削減されていること


このように、断熱基準を強化することによってなるべくエネルギーを必要としない住宅を造り、必要なものは再生可能エネルギーを利用して生み出すことを目指したのがZEH基準となります。
また、このZEH基準の上位等級としてZEH+基準もあり、これら4つの条件がより厳格化されたものになります。

省エネ基準の適合延期

「建築物省エネ法」の改正により、建築士にはお客さまへ住宅の省エネ性能を説明することが義務付けられたように、省エネには非常に注目が集まっています。
2020年に予定されていた断熱等級4の義務化こそ見送られたものの、近い将来実施される可能性は高いといえるでしょう。

建物の断熱性能向上に動くHEAT20とは

建物の断熱性能向上に動くHEAT20とは

ここまで、断熱性能におけるさまざまな等級を解説してきました。
年々新たな基準が設けられるなどして全体の住宅性能は高くなってきてはいるものの、やはり世界基準でみればまだまだ低いのが現状です。
そこで、これを改善するためにHEAT20という団体が組織されました。

HEAT20とは

正式名称は「2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会」です。
住宅においてさらなる省エネルギー化を推進するため、断熱性能の向上と断熱化した住宅の啓蒙活動をおこなうことを目的としています。
多くのメンバーが住宅生産団体や研究者などで、皆有志で参加しています。

HEAT20の特徴

彼らの大きな特徴の1つが、省エネルギーに関する独自の基準を設けていることです。
具体的には、G1・G2・G3という外皮性能グレードがあります。

グレードを定めるための条件

HEAT20が重視していることが、室内における体感温度です。
体感温度は、(床・天井・壁の平均温度+室温)/2で算出することが可能です。
各グレードごとにおける体感温度の基準は以下です。

●G1:10℃を下回らない性能
●G2:13℃を下回らない性能
●G3:15℃を下回らない性能


なかでも最上位のG3については、世界の住宅性能水準と比較しても劣らないほどの性能の高さを誇っています。

HEAT20が目指す住宅

HEAT20は、「明日の住まいの方向性を示し、技術を具現化、そしてそれを促進するための提言をすること」と謳っています。
そこでポイントとなってくるのが、以下の3つの要素です。

設備的要素
省エネエアコンやLED電気など高効率なシステムを導入して、消費電力の削減に取り組みます。
断熱性能を高めることと省エネを同時に成し遂げるためには、こういった環境にやさしい設備の導入が不可欠です。

創エネ的要素
創エネとは、住宅自らエネルギーを創り出すことをいいます。
太陽光発電などを利用して、必要なエネルギーを自分で創り出す自給自足の体制を整えるのです。

健康的要素
断熱性能の低下が人体へ及ぼす影響はとても大きいものになります。
近年では、ヒートショックという現象によって多くの方が自宅で命を落としています。
ヒートショックとは、急な温度変化によって脳梗塞などの症状を引き起こすことをいいます。
可能な限りの建物内の温度を一定に保つことができるよう取り組みます。

まとめ

今回は建物における断熱性能について、さまざまな指標を用いて解説しました。
日本の断熱性能は、世界基準と比べるとまだまだ劣っています。
そのため日本の基準は今後ますます厳格化されていくでしょう。
これから住宅を購入される際は、こういった将来のことも考慮したうえで、住宅性能に注視した建物選びをすることをおすすめします。

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